昨日は仕事が速く終わったので、職場の人に誘われ麻雀を久々に一局だけ打ってきた。「朝まで打とうよー」と熱烈に横柄に懇願されたのだが、明日は大事な用(http://screammachine.web.infoseek.co.jp/offgili/)がありますので、とピシャりと拒否した。己の身を無間地獄の業火で焼きながらも徹底したインファイトで闘う7人の聖戦士たちのために、僕は万全の体調を整えておかなくてはならないのだ。


で、麻雀なのだが、1000点1000円というサラリーマンレートを遥かに超越した勝負を強要してくる気が違った上司が今日はいなかったので、点5の10・20という、実にピースフルな半荘と相成った。


ここから唐突に自慢になるのだが、僕がおよそ10年に渡る麻雀人生の中で一番凄かったアガリは、「ダブリー一発ツモチャンタ三色」という、時代が時代だったり相手が旗本だったりしたならその場で無礼討ちされているようなものだったのだが、今夜、ついに僕は自分自身を越えることに成功したのである。


場は実に平たく進んだ。普段なら兵藤会長のような凍てついた尊大な態度で麻雀を打つ私だが、この日ばかりは「貸してたワンナウツがやっと帰ってきたから、早く家に帰って読破したい、朝までかかっても構わない」とオフ喜利参加者たちへの礼儀を見事に忘れ、上の空で打っていたのである。そうするうちに親のオーラスがやってきた。僕の持ち点は24600点の2着。まぁ別にこのまま終わってもいいんじゃねえの、と完全に弛緩しきった状態であった。そして配牌を開き、僕は卒倒した。



北北西西中中中一一九九七89


ドラ中


一七九、マンズ
89、ピンズ


という牌勢だったのである。ショック死するかと思った。「何でもござれ」という表現がピッタリな局になったが、どうせなら一瞬で高く華麗にアガりたいと思い、打七。迷彩もクソも無い形だが、迷彩を施す。一番綺麗な形を目指す。拮抗したオーラスにオタ風の北と西を抱えているような輩は滅多にいるものではないので、下家と対面が初順に北と西を即座に鳴かせてくれた。当然、89を払い、一と九のシャボ待ちに。


福本伸行先生はこれまでに幾度も「勝ちを確信した瞬間、人はもっとも無防備になる」というようなことを言っておられるが、それを肝に銘じていたにも関わらず、図に乗り忘却。天狗になり、有頂天に達する。そう、僕は調子に乗ったのである……。


で、対面があっさりと一を放り、「ホンロウトウホンイツドラ3」の24000を直撃、先輩を飛ばし、上家に一回もツモらせないまま僕は完全勝利を収めたのであった。呆然としている先輩、同僚らを尻目に、僕は「当然の結果」と言わんばかりの態度で幾ばくかの金銭を受け取り、そう、『グリーンヒル』でリーダーが結婚詐欺に遭う回があるが、あのときのリーダーのように咄嗟にわけ分からんキャラを作り演じつつ、颯爽と場を去ったのであった。ひょっとすると一生に一度の「あんた、背中が煤けてるぜ」と堂々と言えるチャンスだったかもしれないが、それよりは「全く理不尽な麻雀を打つ不気味な男」という印象を与えたまま終わりたかったのだ。雀力が一切介在しない、イルカでも頑張ればアガれたような、運100%の脳みそダダ漏れ麻雀だったが、私の全国統一の野望の第一歩としての端緒としての、「恐ろしい男」との刷り込みを行うことを選んだのだ。


また、帰り道に眼前にて、酔っ払いが自ら返却した吐しゃ物に滑って転び衣服が大惨事に陥いるという事件が発生するなど、僕の運はいまや天に達する勢いといえよう。ただ、今日はお金を拾うかもしれないが、明日は駅のホームでキャシー塚本のような人物にいきなり線路内に突き落とされるかもしれないので、やはり福本先生の言われる通り、調子には乗らないよう、全力で気をつけ、世間に低姿勢で擦り寄っていきたい所存だ。




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※ちなみに今まで見た中で一番、ダントツ凄かったアガりは、サカイさンの「チンイツ、スーアンコー、スーレンコー、タンキ」(1666777888999)でした。全く意味が分からない。あのときの振りこんだI倉の呆然顔は凄かった。